箱の本質

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「子供が小学校に上がるまでに、マイホームを買いたい」そんな想いからはじまったS家族のリノベーション。
夫妻の求める“極力シンプルな空間”という言葉にこめられた想いや要望はどのようなカタチとなって叶えられていくのでしょうか…。S家族のリノベーションストーリーの幕開けです。
「子供が小学校に上がるまでに、マイホームを買いたい」そんな想いからはじまったS家族のリノベーション。夫妻の求める“極力シンプルな空間”という言葉にこめられた想いや要望はどのようなカタチとなって叶えられていくのでしょうか…。S家族のリノベーションストーリーの幕開けです。
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この街だから決意できたこと

神奈川県川崎市。宮前平駅から10分ほど歩いた閑静な住宅街にS家族のお宅はあります。
S家族は靴職人のご主人と専業主婦の奥様、そして今年で6歳になるお子様の3人暮らし。以前の家も今のお住まいから徒歩5分圏内のご近所で、約65㎡の賃貸に5年ほど暮らしていました。そして今から約2年前、「子供が小学校に上がる前までに家を買って、いつでも帰ってこられるような地元をつくってあげたい」そう考えていたお2人はマイホームの購入を本格的に考えはじめます。家を買うといってもはじめから新築という選択肢は考えておらず、中古マンションを買ってリノベーションをしようと決めていたと言うお2人。それは、「アンティークな家具が好きっていうのもあって新しくてピカピカとしたものより、味わいのある古いものに魅力を感じることが多かったんですよね。それは家具に対してだけじゃなくて、自分が住む空間にも同じことを思っていて。綺麗だけどあまり満足していない間取りで真新しい雰囲気が漂っている新築より、築年数が経っている物件をリノベーションで私たち好みの空間にして住む方がずっと魅力的に思えたんです。」と奥様。それからS夫妻はまず最初に中古マンションの購入を考えて、不動産屋を訪れます。「はじめは物件を購入してからリノベーション会社に依頼しようと思っていたので、まず不動産屋で紹介してもらった物件をいくつか内見しました。でも内見時に『この壁は壊せますか?』など質問をしても普通の不動産会社の方なので、あまり詳しくは答えていただけなかったんです。それならちゃんとリノベーションを前提とした物件探しからサポートしてくれるリノベ会社にお願いする方がいいなと思ったんです。」とご主人。それからネットで物件探しからワンストップで行なっているリノベーション会社を検索し、ヒットした数社に資料を請求。その中で一番気になる事例の多かったnuの相談会に参加しました。「nuは物件探しからお願いできるというのはもちろんですが、HPにたくさん事例が載っているのに何一つ同じデザインがなくて、その高いデザイン性がとても魅力的でした。ここならきっと私たちのやりたいことを叶えてくれるんじゃないかって思えたんですよね。」とS夫妻。それからnuに依頼することを決め、次はいよいよ物件探しです。お2人がアドバイザーに提示した物件条件は、家族3人がゆとりを持って暮らせるよう70㎡前後のお部屋で日当たりが良いこと。そして仕事の帰りが深夜をすぎることが多いご主人が電車をつかわなくても帰宅できるよう、職場まで自転車で通えるエリアというのが絶対条件でした。それらの条件を元に物件探しを進め約2ヶ月で7〜8件ほど内見し、その中で一番魅力的だったのが今の宮崎台のお住まい。「最初はアドバイザーの方に宮崎台エリア以外にも川崎市内で条件に合う物件をいくつか紹介してもらっていたんですが、やっぱり広さや日当たりなどの条件を満たしていても住み慣れていない場所だと中々購入を決断できなくて。でもこの物件は窓も大きいので採光や通風も確保できるし、主人の職場からも自転車で15分以内の距離。それに加えて以前の家から歩いて5分くらいの場所だったので、周りの環境も良く分かっていたし安心できたんですよね。だからこの物件を紹介してもらった時は私たちにぴったりの物件だ!っ確信して(笑)。それで迷うことなく購入を決断できました。」と奥様。そして築44年、68㎡の物件を購入しました。

o-r-95-03トイレと脱衣所の扉は、雑誌『暮らしのまんなか』に載っていた扉を参考に造作した。
o-r-95-04モザイクタイルの壁に実験用シンクを取り付けたオープンな洗面スペース。

シンプルを求める理由

「私、模様替えをするのが好きなんです。だから自由に模様替えができるように極力シンプルな空間にしたかったんですよね。そこに自分たちで家具やグリーンを飾って家を完成させていく感じが良くて。」と奥様。そんな奥様は最初のデザイン打ち合わせの時に自分の好きなテイストや取り入れたいものなどをまとめた手作りのスクラップ帳を持参し、デザイナーに想いをぶつけたのだとか。「昔からCasaやBRUTUSなどのインテリア系雑誌を読むのが好きだったので、色々な雑誌を切り抜いたスクラップ帳を作ってデザイナーの方に見ていただいたんです!その方が私たちのやりたいことや好きなテイストがきちんと伝わるんじゃないかなと思って。今思うとスクラップ帳のおかげでイメージの共有がスムーズだった気がします。」と当時を振り返る奥様。S夫妻はスクラップ帳をデザイナーに見せながら、“極力シンプルな空間”というテーマを念頭に置きつつも「家の中でも靴修理ができる広いスペースが欲しい」「今は必要ないけれど、子供が大きくなった時に個室がつくれるようにしたい」「オープンなキッチンにしたい」など具体的に取り入れたい要望を伝えていきます。そんなお二人にデザイナーが提案したのは『箱の本質』というコンセプト。余計なものを取り払ったシンプルな箱を形成し、そこに家具やグリーンを飾ることで空間を彩っていく、そんな「暮らしを楽しむ」という家の本質をカタチにしたお部屋をイメージしました。
そして約4ヶ月間の打ち合わせ期間を経て完成したのは、廊下の存在しない1LDKのシンプルな箱。玄関扉を開けてまず目に飛び込んでくるのは、約4畳の広々とした土間と存在感のある本棚。土間にはご主人が靴の修理をする時に使うミシンや漉(す)き機が置かれ、家の中でも作業ができる十分なスペースを確保。広い土間はお子様の遊び場としても大活躍しています。そして梁の高さに合わせて約30cm四方の箱を均等に積み上げるようにして造られた本棚には、家づくりのデザインソースにもなった『Casa』や『Ku:nel(クウネル)』などのライフスタイル系の雑誌からお子様の絵本までたくさんの本が並べられています。実はこの本棚はただ本を仕舞うためにつくられたのではなく、間仕切りの役割も担っています。お子様が大きくなったらこの本棚を間仕切りとして、子供部屋を確保できるよう将来性を見据えた本棚になっています。そして土間から続く扉のないオープンなリビングは約20畳という開放的な広さ。床に敷かれた幅18センチのオーク材は一般的に使われることの多い9センチ幅と比べると2倍の幅の広さで、木の生き生きとした表情が伝わってきます。そんなリビングの中心には、まるで箱が宙に浮いているかのようなアイランド型キッチンを配置。キッチンのデザインは、奥様がネットで検索している時に見つけて一目惚れしたと言う浮遊型のキッチンを参考に造作しました。スチールパイプの脚の上にシナ材で作った下台とステンレスの天板をのせ、床から少し浮かせることで軽やかな印象を感じさせます。「以前の家は壁付けキッチンだったので、料理中に子供の様子が見れなくて中々ご飯作りがすすまずに不便だなぁと感じてたんです。それにお客さんが遊びに来ていても、背を向けながら料理をすることになってしまってなんだか申し訳ないなぁと思うこともあって。だから絶対にリビングに対してオープンな配置にしたかったんですよ。今はキッチンに立つと子供の様子だけじゃなくて家全体を見渡すことができるので、私はこのキッチンが1番のお気に入りポイントです!」とにっこり笑う奥様。奥様の言う通りキッチンからは内窓を設けた寝室までガラス越しによく見えます。寝室はリビングを広くとるためにベッドが置ける最小スペースにおさめたいと考えていたS夫妻。限られた空間に開放感を演出できる内窓を設けたいとデザイナーに伝えたところ、提案されたのがこの大胆にも腰壁から上、全てにデザインされた内窓とガラスの扉だったと言います。これはインテリアショップ『TRUCK』のオーナーご夫妻の自宅を参考にしていて、TRUCKの家具が好きだと言うお2人へのデザイナーからの提案でした。「寝室が完全に個室化されてないおかげで、1人で部屋で遊ぶのも怖がらなくなりました。前の家では1人で部屋に入ることすら怖がっていたのにね!?」とお子様に笑いかけるご主人。実は内窓と扉には錆び促進剤という特殊塗料でわざと錆を発生させ、塗装では決して表現できない絶妙な赤茶色をつくりだしているというこだわりよう。錆がつくりだす様々な表情がオリジナリティのあるヴィンテージ感で空間を包み込みます。

木とコンクリート現しと白で形成されたシンプルな箱。暮らす上で本当に必要なものだけを選び創られた箱は、素材感を大切にしたTRUCKのソファーやテーブル、グリーンや小物…それらをより一層引き立たせる空間へと仕上がりました。

o-r-95-05自転車や観葉植物も置ける広さを確保したモルタル仕上げの土間。
o-r-95-06扉を取り払ったキッチン収納は、すぐに物が取り出せて使い勝手も抜群だと言う。
o-r-95-07ガラス越しに見える寝室の木壁は、アクセントになるよう壁の一部に取り入れた。

自分たちの手で彩る暮らし

o-r-95-08インタビュー中も元気いっぱいに家の中を走り回る楽しそうなお子様。

「リビングの扉がないので土間からLDKまで空間が全部つながっていて、息子の幼稚園のお友達が遊びにくると皆で家の中全部を使って走り回って遊んでるんですよ(笑)。」と奥様。S夫妻は引っ越し当初、お子様が新しい家での暮らしにに馴染めないのではないか?と少し心配だったそうですが、お2人の心配をよそにインタビュー中楽しそうに家の中を走り回るお子様の姿を見ていると、きっともうこの家での生活に馴染んでくれたのだなぁと感じました。そしてS邸を見渡すと思わず目にとまってしまうのが、センス良く飾られたドライフラワーやインテリア。最近ご主人が趣味で育てているというグリーンや、唐辛子やローリエでつくった奥様お手製のドライフラワー。そしてキッチンバックカウンターには奥様が集めている食器たちが並べられています。「料理をするのが好きなので、自然と食器も集めちゃうんですよね。だからバックカウンターも並べた食器が映えるように極力シンプルなものにしてもらいました。」と奥様。

気分や季節に合わせて想いのままに飾り付けていく”箱”…。
「暮らしを楽しむ」という家の本質をカタチにしたS家族のお宅が完成しました。

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